有機スズ化学の新展開

環境のことからはいろいろいわれる有機スズ化合物ですが、有機化学的に見ればとてもおもしろい反応をしてくれます。よく知られたラジカル化学でも、従来型の付加や環化だけでなく直接置換や転位反応が起こってくれて、新しい合成方法論を展開できそうな研究を進めています。最近は、スズ上のラジカル置換反応の速度を見積もったり、ラジカル転位を活用した新しい複素環化合物の合成法も開発しています。パラジウムを使ったカップリングでも興味深い展開が進んでいます。 得られたスズ化合物を使ってシーケンシャルなダブルStilleカップリング反応にも成功し、生理活性物質などの合成法として期待される反応も見いだしています

Kamimura, A.; Miyazaki, K.; Kawamoto, T.; Uno, H.

Tetrahedron 2016, 72, 7722 – 7726: DOI: 10.1016/j.tet.2016.04.078 Kamimura, A.; Yoshinaga, T.; Noguchi, F.; Miyazaki, K.; Uno, H.

Org. Chem. Front. 2015, 2, 713-720.

Kamimura, A.; So, M.; Ishikawa, S.; Uno, H.

Org. Lett. 2013, 15, 1402 – 1405: DOI: 10.1021/ol4003948

Kamimura, A.; Ishikawa, S.; Noguchi, F.; Moriyama, T.; So, M.; Murafuji, T.; Uno, H.

Chem. Commun. 2012, 42, 6592-6594