Molecular structure and shapes of organic molecules

 

分子の形は、一般的には“物理的な性質”と、“有機化合物の反応パターン”を考える上で重要な要素です。その形は原子の結合角と結合距離によって決まり、炭素原子の結合が4つなら正四面体、3つなら平面、そして2つなら直線構造になります。また、分子の形を考える上で重要なのがVSEPRモデルです。これは孤立電子対や結合電子対の電子は、お互いに反発(repulsion)し合い、できるだけ遠ざかった位置を取ろうとするという概念を取り入れたモデルです。これによって分子の形を予測したりもします。

共有結合は2原子によって共有されている電子対のことです。原子はお互いのs軌道やpx, pz, py軌道中の電子を出し合って分子軌道を形成し、原子間に結合が形成されます。形成された分子軌道はエネルギーの異なる結合性軌道(bonding orbital)と反結合性軌道(anti-bonding orbital)に分かれます。

混成軌道は、原子間で形成された結合を説明するために必要な概念です。各原子がs軌道やp軌道中の電子を使う際に、それぞれの軌道が縮退し(同じエネルギーレベル)新たな軌道(sp, sp2, sp3)を形成します。sp軌道はs軌道1つとp軌道1つが縮退して形成される2つの軌道であり、アセチレン炭素が該当します。アセチレンには3重結合がありますが、これはsp軌道を利用する1つのσ結合とp軌道を利用する2つπ結合から成り立っています。同様に、sp2軌道はs軌道1つとp軌道2つが縮退して形成される3つの軌道ありエチレン炭素が該当します、エチレンの2重結合は、sp2軌道を利用する1つのσ結合とp軌道を利用する1つπ結合から成り立っています。sp3軌道はs軌道1つとp軌道3つが縮退して形成される4つの軌道でありメタン炭素が該当します。メタンのC-H結合は、全てsp3軌道を利用して形成されたσ結合です。

混成軌道で重要な事項の一つが結合のs性です。sp混成軌道ではs性(軌道のうちs軌道の占める割合)が50%になりますが、sp3混成軌道では25%になり、p軌道の性格が強く表れてきます。第6章でもう一度この概念は出てきます。

分子の表し方として、線形表記があります。これはこれから普通に使いますので慣れて自由自在に使えるようにしてください。ChemSketch やMarvinSketchで普通に作図するとこうなります。たくさん作図して慣れて(習うより慣れろです)使いこなせるようにしてください。


最後にアルケンのE/Z (trans/cis)について述べました。cis/transの上位概念としてE/Zがあります。cisはZで、transはEですが、この逆(すなわちZならcisといってしまうこと)を使おうとすると間違ってしまいますから注意を。E/Z決めるためのルールとしてPrelog-Cahn-Ingold則がありますが、これは教科書第11章の時間で詳しく触れます。

Tuesday, 23 October 2018

 
 
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