化学Ⅱ
化学Ⅱ
2017
今日の講義は分子模型を作ったらすぐにわかる単純な話です。でも、分子模型をくまないで横着をすると確実にわからなくなりますよ。復習では授業中に言ったように分子模型をくんで、それを眺めながらしっかり理解するようにしてください。
今日のキーワードは立体配座およびねじれ型コンホメーション、かさなり型コンホメーションです。また、その表記法のNewman投影にもなれましょう。
エタンは、かさなり型とねじれ型の2つのコンホメーションを代表的にとります。それぞれ、Newman投影で2つの炭素についている水素が、かさなって見えないのがかさなり型、互い違いに「いれこ」になっているのがねじれ型コンホメーションです。これらの安定度(エネルギー)は水素間の距離によって決まり、かさなり型は近いので、その分エネルギーが高くなります。かさなり型とねじれ型のエネルギー差は12kJ/molです。
ブタンのC2-C3炭素の間で同じような観察をすると、かさなり型とねじれ型でそれぞれ2種類のコンホメーションができることがわかります。ねじれ型では、C1とC4のメチル基が、ねじれ角180°のもの(反対側に位置しているもの)をアンチ型、ねじれ角が60°のものをゴーシュ型と呼びます。アンチとゴーシュではアンチの方が安定ですが、そのエネルギー差は3.8kJ/molになります。小さい差に見えますが、エネルギー図を見たらわかるように、これらは「谷」と「谷」の差なので、「平衡」によって規定されることになります。
このコンホメーションの考え方は、有機化学以外にも多くの化学の分野で登場します。例えば高分子化学でもポリエチレンやポリプロピレンの構造は、やはり今日勉強したantiコンホメーションが有利に存在し、その結果、高分子の炭素鎖は「ジグザグ(zigzag)」構造をとることになります。ポリプロピレンではイソタクチック構造とシンジオタクチック構造がありますが、これはジグザグの片側にポリプロピレンのメチルがよっているか、あるいは交互に左右並んでいるか、の違いになり、それによる結晶化のしやすさから、高分子の特性を決めている要因だったりするのです。
Conformation and strain in molecules 1
31/10/2017